まわた布団

“まわた”を知っていますか?

“綿”・”わた”と聞くとどんなものが思い浮かびますか?
ふわふわしたもの、やわらかいもの、あたたかそうなもの…
どれも優しそうなイメージですよね。

お布団で使う”わた”には、大きく3つの種類があります。

  • シルク(絹)や羽毛・ウール(羊毛)を使う動物性の”わた”
  • 麻やコットン(木綿)を使う植物性の”わた”
  • ポリエステルやアクリルなど石油からとれる化学性の”わた”

どれも”わた”なのですが、見た目も性格も大きく違います。

この中で日本人の生活に数千年前から根付いている繊維がシルクや麻です。私たちは特にシルクのわた「真綿」や「麻わた」を使った身体に優しいお布団を日々作っています。

羽毛布団と違う暖かさ

「真綿」は、カイコ(蚕)が吐き出す糸で作られる
繭から出来たシルク100%のわたです。

歴史は古く、弥生時代に養蚕が大陸から伝来した頃からあり、かつて”わた”といえば真綿のことでした。室町時代から木綿の生産が始まると、区別のため”本当のわた”という意味の「真綿」という言葉になりました。

真綿布団の特徴は一言でいうと、以下の特長を満たし身体に無理なくあたたかいお布団です。

  • わたの形状がドレープ性にすぐれ、身体をふんわりと包み込みます
  • 絹糸は保温の作用だけでなく、湿気のコントロールにすぐています
  • シルクに内包されるセリシン(タンパク質)やフェブロイン(アミノ酸)の成分が人間の肌に優しく働きかけます
  • 絹糸の繊維が長く、綿切れすることが少ないので綿ぼこりが立ちにくいです

真綿布団は、今のお布団が身体に合わずお悩みの方、高体温の方や低体温で代謝の低い方でも気持ちよくお使いいただけます。

赤ちゃんやお年寄りの方にはとても相性が良い、天然繊維の良さを存分に味わっていただけるお布団です。ハウスダストや喘息等で従来のお布団にお悩みの方にも綿ぼこりが立ちにくく、安心してお使いいただけます。

機能

暖かい掛布団というと、よく羽毛布団が思い浮かびます。
羽毛布団と真綿布団はどこが違うのでしょうか。

羽毛布団は、寝る人から出る熱を羽毛の集まりが閉じ込めることで、身体の周りの温度を保つ仕組みです。低温低湿度の欧米の気候に応じ、外部の温度変化から寝る人を守ってくれる特長があります。

また、軽くふわふわする羽毛の吹き出しを抑えるため、側生地の目詰まりが細かく、生地自体も重くなっています。そのため、高体温の方が就寝時に蒸れるような感じがしたり、末端冷え症の方ではご自身の体温の伝わりを感じにくいことがあります。

一方、真綿はシルク自体が吸放湿性にすぐれ、蒸れ感が少なく、日本の四季で春/秋/冬と3シーズン通してお使いいただけます。側生地が絹や高機能の木綿を使うことで、綿のやわらかさにマッチし、ボディラインになめらかにフィットします。また、真綿の中の何重もの空気の層が体温を預かることで、寝入りから寝起きまでお身体に無理なく暖かさが持続します。

羽毛布団をお手持ちの場合、お身体と羽毛布団の間に真綿布団を1枚挟むことで日々の眠りがより快適になる方が多いようです。羽毛布団の外気の寒さに対する特長と真綿布団の身体の体温を保つ特長を組み合わせて使ってみるのはいかがでしょうか。

どうやって使うの?

真綿布団はカイコ(蚕)の繭を原料にして
全ての工程が手作業で作られます。

繭を重曹を入れたお湯で煮て、繭をほぐします。ほぐした繭からカイコのさなぎを取り除きます。ほぐれた繭を手の甲にかけ、繭おおよそ5個分を型枠に広げて干し、ハンカチ大の角真綿を成形します。

角真綿ができると、今度は2人で決められたお布団のサイズへ大きくする手引き作業をします。正方形の角真綿の4スミをそれぞれ持ち、後ずさりしながら真綿をひろげてゆきます。

お布団のタテ・ヨコのサイズに合うように、少しずつ広げては重ねてゆくこと約300回、中わたの完成です。約3千個の繭を使い、手引きすること3時間、ようやくお布団1枚分(重さ1㎏)になります。

真綿の中わたができると、今度はお布団のシルク100%の側生地に中わたを包み込みます。襟元・おなか・足元と綿の偏りがないよう丁寧に整え、手で糸綴じをすると真綿布団の完成です。

1匹のカイコを育てるところから1枚のお布団ができるまで、どれだけ短くても半年はかかります。

お手入れと洗濯について

真綿布団ってお洗濯できるの?丸洗いは?
私たちの工房にお客様から頂戴する多いご質問の一つです。

真綿布団のお手入れは、とにかく陰干しが大事です。よく乾いて風の気持ち良い日に、身体が当たる側に風をあててあげてください。まずは、真綿が吸っている寝ている人の汗を放出させてあげましょう。

お洗濯は基本的には掛け布団カバーをしっかり洗ってあげてください。水洗いはお布団を汚してしまった時のみでかまいません。その際は、なるべく汚れた場所のつまみ洗いや部分洗いでとどめ、洗剤はヘアシャンプーとリンスを用います。どうしても丸洗いをご希望の場合は専門の業者さんへご依頼ください。

真綿布団の”かさ”(高さ・厚み)は、寝る人の汗や空気中の湿気を吸うことで自然と落ち着いてきます。お時間があるときに、お布団の生地の上と下から中のわたをつまみ、空気を入れるように優しくほぐしてください。

このメンテナンスを行っていただくことで、真綿布団がより長くお楽しみいただけます。